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[英文契約書]金銭による損害賠償(monetary damages)/コモン・ロー(common law)とエクイティ(equity)

[英文契約書]コモン・ロー(common law)とエクイティ(equity)

目次

1.コモン・ロー(common law)とエクイティ(equity)

英文契約書の条文を理解する上で、重要な概念として、英米法系のコモン・ロー(common law)とエクイティ(equity)を理解する必要があります。
コモン・ロー(common law)とは?エクイティ(equity)とは?
英文契約書の専門家がわかりやすく解説します。

2.コモン・ロー(common law)とは

コモン・ロー(common law)とは、裁判所の判例の報告を積重ねた慣習法の法体系のことで、判例法ともいいます。
世界の法体系は、英米法系のコモン・ロー(common law/判例法主義)と大陸法系のシビル・ロー(civil law/制定法主義)とに大別することができます。なお日本はシビル・ロー(civil law/制定法主義)に基づく法体系を採用していますが、アメリカでは、先例の判例を重視するという先例拘束性の原則コモン・ロー(common law/判例法主義)に基づく法体系を採用しています。

3.エクイティ(equity)とは

日本では、事案が生じた際に、その事実に適合する条文を解釈し、解決するのに対して、アメリカでは、生じた事案に類似する先例の判例に基づいた解決を行います。
この場合に、英米法系は、コモン・ロー(common law/普通法)とエクイティ(equity/衡平法)とに分けることができます。
コモン・ロー(common law)が英国のコモン・ロー裁判所の判例法体系であるのに対し、エクイティ(equity)は、1875年まで存続した衡平法裁判所の判例を通じて、コモン・ロー(common law)の欠陥を裁量的に救済することで発達した法原理です。
また、コモン・ロー(common law)が厳格法を採用してきたのに対し、エクイティ(equity)のはこれを是正する道徳的衡平の意味で、衡平法を採用してきたと言われます。
ただ現在では、コモン・ロー(common law)とエクイティ(equity)は融合され広義での“英米法”として用いられています。

4.まとめ

とはいえ、コモン・ロー(common law)とエクイティ(equity)は実体法上異なる法体系として存在しています。英文契約書の条項を解釈する上で重要なことは、「コモン・ロー上の救済(remedy at law;金銭的賠償)」と「エクイティ上の救済(remedy in equity;金銭的賠償以外の救済=特定の行為を行わせる、違法行為をやめさせる(差止め命令)等による救済)」の意味を知ることであると言えます。
日本でも先例の判例に拘束されるという考え方は勿論ありますが、英米法のように先例の判例自体が法律になるというまでの考え方ではありません。この大きな違いを理解することが、英文契約書の条項の解釈では重要となります。

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